ツエストポーチを使用した感想
全盲 川島昭恵さま
こんにちは。川島昭恵です。私は「語り」と言って、いろいろな場所でいろいろな方たちに物語をお聞きいただく活動をしております。私は6歳の冬、病気で失明しました。絵を描くことが大好きだった私は、絵を描かなくなりました。そんな私が中学のときに「語り」と出会ったのです。
「語りとは、語り手が心の中に絵を描く作業に似ている」。これは私の語りの師匠、北川智繪さんの言葉です。今、形を変えて私は、幼いころから好きだったことをスタイルを変えて続けているのです。
ツエストポーチの生みの親である角住由美さんとの出会いは、永福図書館の点字講習会で講師として招かれたときでした。講習後、近づいてこられ、「私は発明家なのです」といきなりおっしゃいました。正直、びっくりしました。その唐突さと勢いにです。
お話を聞いていると、ご自身が足をけがされ不自由になったことをきっかけに、今は視覚障害を持つ人たちの生活が少しでも便利になるようなグッズの発明に力を入れておられるとのこと。そして、私に開発中のツエストポーチのモニターになってほしいとおっしゃるのです。情熱がびんびん伝わってきました。
ツエストポーチは、ポーチの両側のウエスト部分に付いているマグネットに、白杖にも取り付けてあるマグネットをくっつけることで、一時的に杖を手に持たずにキープすることができます。今までは駅でスイカを出すときや、お店のレジで財布を出してお金を数え、お釣りのやり取りをするとき、手を洗うとき、バッグからハンカチや携帯などを出すとき、鍵の開け閉めをするときに、いちいち白杖を脇に挟んでいました。
それが当たり前になっていましたが、ツエストポーチに杖を預けられるようになってからは、とても楽になりました。やっぱり両手を自由に使えることは便利ですね。白杖は歩くときの大切な相棒ではありますが、今はツエストポーチも私のお出かけの大事なパートナーです。
また、今までは家に帰ったら一度家に入って杖を置き、手ぶらになってから門にある郵便受けに戻っていましたが、今は門のところでツエストポーチに杖を預けて、両手で郵便物を取り出せるようになりました。お芝居に行ったときや、バスで進行方向に向いた座席に座れたときなども、杖をマグネットに付けておけば手放しでOKです。
それだけでなく、実際に使ってみると、ポーチにはさまざまな工夫が至るところにされているのを感じます。ポケットや仕切りがいくつもあるので、物が整理できるのはありがたいです。暗いところではポーチの全面がぼうっと光るので、車や自転車を運転する人にも気づいてもらいやすいようです。杖を一時的に預けられる便利さに加えて、バッグとしての機能もよく考えられているのだなと感じています。
視野障碍2級 関根智征さま
視覚障碍者は見えない全盲の方と見づらい弱視の方がいます。
白杖を持っている=全盲ではありません。
私は弱視の視覚障碍者で白杖を使っています。
白杖ユーザーとして両手をフリーにできることは、社会活動や日常生活環境において、大きな役割を果たしてくれます。携帯電話は電話・メール・ライン以外にも音声案内やカメラ機能を使って拡大して物を見る役割も果たしてくれます。
自分の場合は撮影して拡大させて見ることが多いです。他にも遮光メガネを外用から室内用に変えたい時など、テーブル等があってもなくても不便です。福祉機器(日常生活用具)でも同様です。
そのような時は、白杖をわきの下に挟むのですが、注意していても白杖を落としてしまうことがあります。落としてしまうと探さなければなりませんし、誰かに怪我をさせていないかと不安に陥ることもあります。
ほかにも、公共施設をはじめ、様々な場所で白杖を一時的に置ける場所が少ないと感じています。また、折り畳み式の白杖を使用しているのですが、畳んだり伸ばしたりを繰り返していると、劣化しやすくなります。直杖ですと外食時の置き場や搭乗時の手荷物扱いにならない為、不安を感じます。
そのような不安を軽減してくれるのが、このツエストポーチです。後ろで止めることも、前で止めて180°回すこともでき、左右どちらにでも白杖をつけることができるため、利き手や環境などに左右されにくいのも特徴の一つです。
携帯電話や遮光メガネ以外にも、外出先での手洗いやハンドドライヤーを使用する時、買い物などの支払い時、日常生活用具の設定変更する際にも便利です。常に手に持っている必要がなく、体に密着しているので疲れにくく感じます。
病院・診療科により、ポーチは外す必要がない為、白杖を付けたまま出来たり、白杖だけ渡して、終わり次第白杖を返してもらうだけでスムーズに行動をとることが出来るため、人を待たせる時間が少なくてすみます。
「物理的バリアフリーは誰かのバリアになることもある」
(日本心のバリアフリー協会代表理事 杉本梢様の言葉を使わせていただきました。)
このポーチは個人が持つバリアをフリーにしてくれる商品と感じております。ポケットの多さもポーチの中で分けてしまいたい自分にはとても向いていると感じます。
