ツエストポーチの誕生まで

松葉杖サポートエプロン「ツエプロン」が福祉機器コンテストで最優秀賞を受賞したことで、複数の福祉機器展で展示されることとなりました。
ニーズ・シーズマッチング交流会に参加したとき、白杖メーカーの社長と出会い、
「白杖利用者が手を使いたいとき、白杖は脇に挟むため手が自由に使えず、不便な思いをしている。松葉杖と不便さが似ています」という話を聞き、私は大きな衝撃を受けました。

白杖は「目の代わり」となる大切な道具ですが、同時に手がふさがる道具になってしまうということ。
目が不自由なだけでも大変なのに、手まで不自由になってしまうとは…。
この事実を知り、何とかしたいという思いが芽生えました。
私は目が不自由になったことはありませんが、腕を上げると杖が落ちる経験はあります。その経験を生かし、腕を上げても白杖が落ちないサポートグッズを作ろうと、新たに開発を始めました。
視覚障がい者が両手を使いたいとき、多くの方は白杖を脇に挟んで手を使います。白杖が落ちないよう気をつけながら、指先で物の形を確かめ、耳で周囲の状況を察知しなければならず、大変な苦労を強いられています。壁や床に白杖を置いて手を使うこともありますが、目の代わりとなる白杖を体から離すのはとても不安なことであり、置き場所を探すことも大変です。また、高齢者が使う杖でも、スマホを確認したり、財布を出したりする場面では両手を使う事があります。
杖を自分自身に固定すれば、どこにいても自由に手を動かせるようになる――
そんな発想から開発を始め、試行錯誤を繰り返すこと約1年半…
ついに白杖の便利グッズが誕生しました。
名前は「ツエストポーチ」です。
普段使っている白杖や杖に磁石付きのベルトを巻き、ポーチの腰横にある磁石にくっつけて使います。
シンプルなデザインながら、視覚障がい者や高齢者に便利な工夫が満載です。
立っていても座っていても杖を保持できるので、置き場所に困りません。
ツエストポーチの色は、汚れが目立ちにくく、どんな服装にも合わせやすい黒色です。
ウエストサイズは、約60cm~100cmの調整ができる男女兼用のフリーサイズになります。
両手があくことで、スマホの操作や買い物がスムーズになります。
モノトーンですっきりとしたデザインです。
テキス一見、普通のウエストポーチに見えますが、蓄光素材や反射素材を使い、暗闇で光ります。
両サイドは強力なマグネットホックがついており自動的に吸着する磁石を使用。
準備
白杖に磁石付きのベルトを巻きます。
マグネットホックのある方がおもて面で、横には面ファスナーがあります。
裏面には特殊な滑り止め加工が施されており、ずれにくい仕様です。
マグネットホックがついている方をおもて側にして、白杖の全長、上から約1/3の場所にあてます。
ベルト先端を、マグネットホック横にある長方形の金具の穴に通して、先端部分を引っ張って折り返し、面ファスナーでしっかりと留めます。裏側は特殊な滑り止め加工になっており、ずれにくくなっています。